2014年3月25日火曜日

Trattoria 29 (ヴェンティノーヴェ)




私は実はお嬢様なので(爆)、ありとあらゆる名だたる一流レストランでの飲食経験が多々あります。

だから一流である、ということは単なるレッテルや張り子の虎なのではなく、しっかりと裏付けされた技術やホスピタリティーにちゃんと由来しているのだ、ということも、骨の髄から知っています。

近年、日本では価格破壊やアマチュア礼賛の様な現象が起こり、一流店でさえかなり緩んじゃってるな、っていう印象を受ける場もありましたけれど、踏ん張って揺らがない店はちゃんとあり、そういう店は本当に芯の通った、美味しい物を出してくれます。

そして更に近年、新たな一流の波が来ているのかもと感じます。

色んな意味で自由になった現代、沢山の人たちが学びたい場へ出てゆき、広い世界で多くの経験を積んで、ドメスティックな環境で培われた感性の限界を遥かに超えた感覚を手に入れて帰って来る、そしてそういう人たちが、また美味しい物を創り始めたのです。

西荻窪のトラットリア 29 (ヴェンティノーヴェ)の噂は、いつも西荻を愛する友達から聞かされていましたが、先日女子会で訪れ、いやーぶったまげました!!


イタリアでの放浪的修行の末にこの店を開いたというシェフの創るお料理の数々は、本格的、という器には納まりません。


本格的、という言葉は、本格、という主役が別にあって、そこに限りなく近いとか、そのレベルを凌駕する、という印象がどうしてもありますが、29の料理は、それ自体が、まさに本格なのです。


イタリアの風土が生み出す本当の、風土の味とプレゼンテーションなのです。

どうやれば日本の素材で、こんな食べ物が作れるの、と驚きます。


私は今まで、それなりに一流に美味しいかもしれないれども、欧米の味を再現しない日本の欧米レストランについて、これはもう、水や素材が原因で起こるどうしようもない個性で、仕方が無いのかもしれない、と思っていたのですが、29に行ってその考えは変わりました。

シェフが、日本のドメスティックな魂に留まっていなければ、日本の素材で、本当のイタリアの味を創ることは可能なのだ、と感じたのです。
そしてこれは多分、既存のイタリアのイタリア料理、という物とも違うんだと思います。

これは29の生み出すオリジナルな、本質的イタリアンなのです。



二次的な味なのではなく、29そのものに、源流があるのです。

私はこういう、究極的なオリジナリティを持つものにだけは、本当に気持ちよく思い切り尊敬を抱ける性質なので、29では思い切り心が解放された、と感じました。本当に、久しぶりに。

当日食べたお料理の写真を載せました。

最も素晴らしかったのは、二番目に載せた、36ヶ月熟成させたなんとも言えないバランスを持ったパルミジャーノのクロスティー二。

それからこの店では、お肉を本当に美味しく調理してくれます。バターチキンが絶品。そして、ウサギとアーティチョークのフリットも最高。


西荻窪29/トラットリア・ヴェンティノーヴェ  、自分がふらふら脇道に逸れそうになったらまた行って、がつんと魂叩き直してもらおうっと。

本物の料理人の味で。