2014年12月10日水曜日

ミステリー


本日の更新は、完全に私自身と、限られた関係者たちの為に書くお話なので、退屈かもしれません。しかもわけのわからない内容です。
と始めにお断りしておきます。


2008年の夏、私はフランスから観光で日本に来ていたパスカルズのマネージャー フィリップのガイド役として、かなり忙しい日々を過ごしていた。

フィリップは人気者なので、基本的に計画していた旅程以外に、パスカルズのメンバー達から色んなお招きを受けてもいたので、そういった事全てを計らう為に、私がロード・マネージャーみたいな感じになっていた。

ある日、パスカルズのチェロ奏者〜通称"悪い方のチェロ"〜坂本さんが、ある音楽フェスに招いてくださり、そこで渋さ知らズ・オーケストラのステージを初めて観た私は大変盛り上がり、フィリップ達そっちのけでノリまくった挙げ句、会場から出たらボディーバッグのファスナーが開いていて、財布が無いことに気が付いたのである。

私はその場で電話をしてクレジット・カードやキャッシュ・カードを使用停止にしてしまい、印鑑も財布に入っていたので通帳も無効にした。
私はどうもこういう時、自動操縦モードのようになって、考えも無く色々やってしまうのです。

だけど財布はあっけなく出て来た。
渋さ知らず ズの会場で拾った方が、フェスのオフィスに届けておいてくれたのだ。
現金も、たいした額では無いが全額そのままだった。
さすが音楽ファン、悪い人は集らないね、とその時は感動した。

とーこーろーがー。


財布に残っていたお金は、その日の交通費を払ってしまえば底をついてしまうような額であり、その日家に着いた私はハタと、自分にはむこう半月くらい以上、自分の口座からお金を引き出す術が無い事に気付いたのである。

カードも使えない。

試しに銀行に行ってみたけれど、本人の確認が出来たところで、通帳もカードも無いんじゃお話になりません、という事だった。

翌日あたりからフィリップのガイドで京都へ行く予定だったのだが、なんたって一文無し!どうすりゃいいのかわかりゃしまへん〜。

フィリップが、旅でのお金は気にしなくていいよ、と言ってくれたのだが、仮にもパスカルズのマネージャーに金を借りるわけにはいかないのではないのか、しかも相手は旅先だし、と思った私はそれは辞退。

事情を知ったパスカルズのバンマスが1万円貸してくれて、フィリップに宿を提供してくれていたBebeちゃんも、確か1万円貸してくれたはず。

京都での日々はなんとかそれでまかない、フィリップ一行を熊野の旅に送り出した後は、友人が一ヶ月細々と生活出来るくらいの現金を貸してくれたので、(友人の名誉の為に申し上げますが、彼女は「200万円くらい貸そうか?」と言ってくれたんですね。。でも、そんなに借りても返せないので、小さくお借りしましてん。)バンマスとBebeちゃんにはそこからお金をお返しして、あとはカード類が復活してくるのを待つだけ、ということで、なんとかなった。


そんなある日。

フィリップ達は熊野にいるし、久々に時間の出来た私は、家族と恒例の乗馬クラブに行く事にした。

最寄り駅で待ち合わせして、迎えに来た車に乗り込もうとした直前、今まで感じたことも無いような、すごく奇妙な、後ろ髪を引かれる、というような、なんとも言えない異様な気配を感じたのである。

すぐに家に戻りたい、戻らなきゃ!!という、ちょっとパニック発作に似た衝動を感じて足がすくんでしまったのだが、そんな事で予定を変えるわけにも行かず、なんとか車に乗り込んだ。

車が走り出して15分ほどすると、すうっとその、平たく言えば「イヤな予感」が消えて行ったので、ややホッとして乗馬を楽しみ、その後ドライブまで楽しんでから、家に帰宅した。


そうしたらですね。

棚の上に置いてあった、友人が借してくれて封筒に入れたまま放置してあったお金が、その封筒のまま失くなっていることに、気付いたのです。

既に半分は、様々な支払いなどで使ってしまっていたのですが、半分は、特に使い道も無く、そのまま友人に 返そうと思って、友人が渡してくれた緑色の、セブン銀行の封筒に入れたままの状態で、置いてあったのです。

それが、無い。

見ると、窓が開いている。

むむむ。


当時うちの近所では、空き巣が大流行りでした。

忍び込み、通帳と印鑑を持ち出して銀行でお金をおろし、その後再び侵入して通帳と印鑑を戻しておく、なんていう離れ技の空き巣にやられた人が沢山いて、注意を呼びかける貼り紙が、マンションのあちこちに貼ってあったものです。

私の部屋は、住んでいる階といい環境と言い、とても空き巣に入れる様な場所ではないのですが、離れ技の空き巣に不可能は無いのではとも思ったし、なにより思い出したのは、昼間感じた、あのなんとも言えない異様な気配でした。

あれはもしかしたら胸騒ぎってやつで、もしかしたらあの瞬間に、泥棒が忍び込んでいたのでは、と私は思いました。


それにしても、探しましたよ。

隅から隅まで。

置いてあった棚の後ろまで潜り込んで、とにかく全力を尽くして探したんです。

でも失かった。

失かったんですよ奥さん!!!


その後、しょうがないので使わなかった分のお金も勿論自分で付け足して友人に返し、なんとなく狐につままれたような気分のまま、今日を迎えていたのである。

実際その後も度々、思い当たる場所は探したし、とにかくお金が惜しいというよりも、環境的に空き巣が入れるようには到底思えない私の部屋から、物が失くなるなんていうことが信じられなかったんですね。

だから念入りに、思い当たる所はもちろん、まさかという場所まで探しました。

でも、出てこなかったんです。

6年間。



さっき、近所のカフェでちょっとお茶をして、のんきに、ポップオーバーが売ってるよ、なんていうツイートをして、そのポップオーバーを焼いてもらって家に持ち帰り、そうだ、と思い立ち、廊下の掃除をしたんです。

言っておきますが、この廊下は、6年前、あのお金が消えて以降も何度も何度も何度も掃除をしています。

その廊下の角には、旅行が多い私が、留守中溜まった郵便物を、じっくり開く時間が出来るまで留めておくラックが置いてあります。

帰国した時にポストに溜まった郵便物をそこに入れておいて、やる気になった時に全部確認して捨てる為の、仮の置き場がそのラックなんです。


封筒系の郵便物が多いので、あのお金が消えた時に真っ先に疑って探した場所であり、その後も何度も何度も、旅が終わる毎に満たされ、しばらくすると空になり、また帰国すると満たされ、またすぐに空になる、を繰り返す、敢えて溜め込まないように一番目につく所に、しかも、大変開放感のある状態で置いてある物です。

形状は、ワインのボトルを立てかけておくボトルホルダーみたいな感じで、中身が隠れない様に、箱形ではなく鉄枠の輪郭だけで出来ていて、だから時々小さい郵便物等は、脇からこぼれたりしちゃうような物なんですが、こぼれたところで廊下の床に置いてあるんですから、問題はありません。


先月の末に帰国して、それからかなり忙しかったため、その時にポストから回収した郵便物が、今回はまだ確認しないまま入っていたので、廊下の拭き掃除が終わったあとにお茶を入れ、ラックのそばの壁にもたれて座って、郵便物を一個一個、開いて破いて捨てて、という作業を繰り返していたんです。

その時、真新しい封書達に混ざって入っていたのが、これだったんですよ。。。



私の記憶では、封筒はべったり緑色だったのですが、これは縞模様。。
だけど一目見て、あっっ!と思いました。

これはまさに、6年間探し続けた、あのお金の入った封筒。。。。。

中を確認するとまさに、あの時使わないまま消えた時のままの、まったく同じ金額が、耳を揃えて入っていました。



何故。。。。。。。。。。。。。。。


何故なの

   ママン。。