2016年1月26日火曜日

シャークネードという映画

私が最もすごいと思った名場面



この映画の噂は度々聞いて知っていた。
でも観る事は無いと思っていた絶対に。


でも観てしまった。
しかも1と2を。







先日世話になったコロラドの友人宅で、友達が今アメリカで流行っているファイヤーボールという酒のボトルとショットグラスを2個抱えて私を大画面テレビの前のソファに招き、必見の映画だと言ってシャークネードの紹介を始めた。

そして、まあ観るからにはまずこれを飲みませんとと、ファイヤーボールを私に注いでくれたわけです。

ファイヤーボールというのは、シナモンの入ったウイスキーで、なんだか今コレがアメリカで大流行りだと言うのです。



シナモンが大好きなので、♬おー♬と思って飲んでみたらすっごく甘くて、甘い酒を飲むと悪酔いする私は一気に警戒モードに。
なんでも入っているのはシナモン、唐辛子、蜂蜜なのだそう。ちなみに33度。

まあ、ワンショット飲んだくらいでは酔いもしませんでしたがね、わっはっはっは。




で、この話題のややゲテモノ的酒を飲まねば我慢出来ないような映画だという事で、いよいよシャークネードの上映を始めた友人。なんでそんな物を私に見せるの。


シャークネードというのは、シャーク(鮫)とトルネード(竜巻)をくっつけた造語です。

シャークとトルネード。
怖い物がふたつくっついちゃってて恐怖のどん底です。

つまりこの映画は、海上で巻き起こった大竜巻が、海で気持ちよく泳いでいた鮫たちを大量に巻き上げ、そのままサンフランシスコやニューヨークに上陸し、街中に大量に鮫を撒き散らして人々を恐怖のどん底に突き落とすという、パニック映画なのです。

パニック映画。

さて、ここで大きな疑問が、心の中でトルネードの様に巻き起こります。

陸地に鮫が降って来た時、果たしてそれは怖いのか。


皆様ご存知のように、鮫は海の中でなければ生きられません。
海の中にいたって、遊泳性の鮫なら動いていなければ死んでしまうのです。
そのような鮫を、陸にいる私たちが、どうやって怖がればいいのでしょう。

この疑問は、シャークネード1と続編2を観ても、解明されることはありません。
何故なら映画の中の登場人物たちも、なんとかして怖がろう、というノリで怖がっているからです。

空から落ちて来た鮫が路上でうねうねうごめく前で足を滑らせて転んでみて、腰が抜けたようになって逃げられなくなってみたり。

飛んで来た鮫をチェーンソーで切り裂こうとわざわざ向かって行って、うっかり噛み付かれて腕をもがれてみたり。

膝上くらいまで浸水した家の中に入り込んでしまった鮫に、コーナーに追い込まれて咬み殺されてみたり。

もう、それはそれは様々な工夫を凝らして、鮫に襲われる登場人物達。

襲われる側の積極的参加が無ければ、決して襲えない陸の鮫に向かって、どんどん無駄な攻撃をしかけに行ってはなんらかの傷を負ったり殺されてみたりと、その努力はまさに涙ぐましい程なのです。

そして、どう考えてもさほど深刻とは思えないこの事態を、世界の終わりかのように語り煽り戦う孤独のヒーロー(上の写真の人)。
空から鮫が降って来るなんていうマヌケな事態を、あそこまで深刻に捉えられる人物も、世界広しと言えどあの人しかいない事でしょう。

そんなわけですから、パニック映画とは言えもう笑いっ放し、突っ込み放題。

映画自体も、あからさまに有名映画のパロディを散りばめたりして楽しませてくれます。
個人的に受けたのは、道路に降って来た鮫の真ん前で腰を抜かしてしまった男が、はっきり言えばそのままにしておきゃあ鮫は自然に死ぬし、男もいずれ腰が治ってそこから立ち去れるのですが、わざわざ酸素ボンベを見つけて来たヒーローが鮫の口にそれを押し込み、銃で撃って爆発させるという、そうです、あの名作、ジョーズの名場面を、まんまパクっているシーン。
いやー、笑いました。

海で鮫と戦う正しい恐怖のジョーズと違い、シャークネードは、水も無い路上でマグロ状態になってジタバタしている鮫に、わざわざ人が喰ってかかるというどっちが加害者かわからない被害妄想恐怖です。
ぬいぐるみ相手にプロレスしてるようなもんなんですよ奥さん。

しかしこの映画、あーーーーーーまーーーーーーりーーーーのーーーーーバカバカしさに結構人気が出てしまい、無名の俳優ばかりの1と違って2では結構名前のある俳優さんを使っているし、予算がいっぱい出来たらしくてバカバカしさにも磨きがかかり、1では半信半疑だった「実は冗談なんですよ」という監督の意図が、2ではくっきりと浮かび上がっているので、結構ギャグ映画として面白く観る事が出来ました。

上の写真はその、続編2の大団円シーンです。
空から降って来た巨大鮫を、ただすっと身体をかわせば避けられる物を、わざわざチェーンソーで縦にまっぷたつに裂くという、鬼畜なヒーローの晴れ姿。

街の人々はそんなヒーローの足下に集い、すごい喝采を浴びせたりして、それはもう、やってらんない、って感じです。

でも。
なんだかんだ言っても、観てよかった。。。と思います。
結構楽しめたのはファイヤーボールのおかげかもしれないけれど。
どっかでただでやってたら、ちょっと観てみてもいいかもしれません。
心の底から脱力して、アホなのか、という言葉が自然に出て来ますよ。


そんなシャークネードは、現在3を製作中とのことです。