ポルトガルのシネシュで開催された"シネシュ世界音楽祭"が、今回のパスカルズ欧州ツアー演奏地最後の、そして今回最も大きな収容人数7000人のステージとなりました。
この音楽祭を主催するカルロスさんは、パスカルズのマネージャー フィリップの親友で、もうずうっと前から、パスカルズをこのフェスに呼べないかと、フィリップに打診していたというではありませんか。
シネシュの街とこの会場に、完全にヒトメボレ状態だったワタクシは、なんでなんで、もっと早く来させてくれなかったのですかー、ここなら毎年来てもいいよ、今度から毎年来ようよ、とフィリップに言ったところ、予算予算、と一網打尽に。
そうなんです。
大所帯バンド パスカルズは、どこへ行くにも移動費と宿泊費が常につきまとう悩みの種。今回の欧州ツアーがなんとか実現できたのは、スイスの超メジャーフェス パレオの出演料が、ツアー全体の経費をある程度補ってくれるから、という前提であり、その上更に国際交流基金などにおける複雑な手続きを、パスカルズの影の番長松井本部長が、毎日夜なべしてやってくれたからという、一筋縄では行かない条件があっての事なのでした。
シネシュ世界音楽祭は、ポルトガル国営テレビで特集が組まれるなど国内ではかなり大きなイベントなのでしょうが、なんせポルトガル自体の物価がお安いせいで、この音楽祭からだけの収入では、経費がまかなえないんですよ奥さん。
ちなみにアメリカなんか州ごとに物価が違うので、安い物価の州ですと出演料もまたガクッとお安くなったりして、ななんと💦、と言っているミュージシャンをそばで見ていた事がありました。その時は結構カルチャーショックだったのですが、ヨーロッパもそんな感じなんですね。
せちがらい話になりましたが、この世界音楽祭でパスカルズは収容人数7000人をさくっと集め、コンサートの評判も大変良かったようです。
本番前と本番後に、ポルトガル国営テレビと国営ラジオの取材を受けたのですが、本番後に受けたラジオ・インタビューの番組パーソナリティのおじさんが、結構ギラギラした、金と女と権力には目がねぇぜって感じの人の割には(偏見)、パスカルズにすっげえ感激していて、しかしそこはやっぱりマフィアなので、「What the hell was going on on the stage!?」(一体全体ステージの上で何が起こっていやがったんだ畜生め!(偏見的翻訳))などというそれなりの表現でその感動を言い表していたのが印象的でした。
ラジオ出演中のマツさん(私は通訳) |
このラジオの放送は遂に聞く事は出来なかったのですが、テレビの方はネットで観る事が出来ます。こちらです→http://www.rtp.pt/play/p1936/e202685/festival-musicas-do-mundo-sines-2015
こっちもパーソナリティーの男性に対してなんとなく、別な意味で腹にイチモツ持ってしまう私がいるのですが、恐らく私の問題なのでしょう。でもさなんとなくこの人、茨城弁っていうんですか?東北弁、話してるっぽくない?
TV収録風景はこちらです。
ここでも通訳なので私がいますが、このテレビ局は私からの、通訳なんでオレの事は映さんどいて、というお願いを聞き入れてくださった大変物わかりのいい人たちだった割には、インタビュー映像で字幕にパスカルズのメンバー数を40人とか書いてたりしてどうなってんのよという感じです。
この方たちはそういった基本的な情報は事前に入れて来ていらしていたので、どういう行き違いがあったのかちょっと不思議ですね。40人だと移動費も宿泊費も更に大変でしょうね。さすがのパレオ・フェスティバルでも、まかなえないことでしょう。
ところで、先のブログでも書いたように、前夜レストランの前で待ちぼうけをかまされたパスカルズですが、バスは1時間遅れて迎えに来てくれました。
パスカルズをレストランで降ろした後、バスは音楽祭に出演する他のアーティストの送迎で忙しかったらしく、レストランに着いた時にも他のミュージシャンがいっぱい乗っていました。
この時バスに乗っていた人たちは、大変垢抜けた大人のアーティストって感じで、おしゃべりしている様子も陽気ですごくいい雰囲気だったのです。私らが乗るとすぐに私の後ろにいた一団が「日本から?」と話しかけてくれたので雑談していると、なんと彼ら、日本で渋さ知らズオーケストラと共演経験があると言うではありませんか!
渋さ知らズと言えばパスカルズにも参加しているメンバーがいますから、前の席にいた坂本さんと三木さんを会話に巻き込もうと、ねえねえ、この人たち渋さとさー、と言ってみたのですが、坂本さんも三木さんも、"夕飯後に1時間も外で待たされてオレは今それどころじゃねー"、を全身から醸し出しており全く社交的ではありません。仕方無いのでひとりでこの、素敵に洗練されたおじさまおばさま達とのおしゃべりに興じていたワタクシ。後に調べてみたら彼らは、"フラット・アース・ソサエティー"というベルギーのバンドのご一行でした。
ところで前日の夕食で、明らかに取り分け用であろう、一皿にすごい数の魚が乗ってたりした料理をひとり一皿ずつオーダーして失笑を買ったパスカルズに、明日っからはあたしが献立考えてやるよ、と言ってくれたお店のおばちゃんでしたが、さすがの采配で、次の日からはほぼ完璧なバランスで、食事が提供されました。しかも絶品!!!!
そして、全てがポルトガルの地元名物料理だったのです。素晴らしいおもてなし!
以下はほんの一部ですがご紹介します。このブログでは、時々U5さんの撮影された写真を使わせてもらっていますが、何故か一枚もこのレストランで写真を撮らなかった私にとって、これらの写真はとても嬉しかった。
トマトリゾット、サラダ、鱈の干物のフライ |
まあそれはひとえに、初日に起こったタコ事件の後遺症であることは間違いありません。
タコ事件:メニューにあった、タコと米の料理をオーダーした人が結構いたのですが、待てど暮らせどその料理だけが全然出て来ませんでした。
全員が食べ終える頃に遂にお店のおばちゃんに、「タコと米のは?」と聞いたら、あれは今日は無い、と言うではありませんか!!!!このタイミングで!!普通、オーダーした時言いません!?と、全員が、怒りというよりはあっけにとられて呆然としていたところ、おばちゃんが言うには、あまりにも一気に店が満員になってしまって騒々しくて、なんかもう、疲れちゃってさ、とのことなのでした。
タコをオーダーした皆さんの心は、満たされないタコへの想いでいっぱいだったのです。
皆様既にお気づきかと思いますが、見事なまでに全部肉!!肉!肉!肉!!!です。
ポルトガルですので、出来ればもっと魚を食べたかったのですが、なんとなく思うにこれは、初日にテーブルに乗り切らない程の量の魚をオーダーしてしまった私たちへの、おばちゃんなりの思いやりだったのではないでしょうか。。。。
恐らくそれほどに目を覆う光景だったのでしょうね、ひとりで6匹鰯を注文する姿が。。
それにしてもポルトガルは、食事が本当に、美味しい!!!!
ホテルの朝食も素晴らしかったのですよ奥さん!
手前にどかっとあるのはカステラ。さすがポルトガル! |
食べ物は美味しいし、人は暖かいし、景色はきれいだし、気候は優しいし、それに何と言っても、空気感がですね、本当に柔らかい、とてもとても優しい、本当に居心地のいい、安心感に満ちた、そんな所が、私の初ポルトガルでした。
本当に、もっとずうっといたかったなーーーー。
ところで残念だったのは、今回初めてお手伝いでツアーに参加してくれた新しい友達で私の今回のルームメイトだったなおちゃんが、シネシュを見ないで帰国する事になってしまったこと。
なおちゃんは、普段は大変エネルギッシュにおしゃべりする熱血風元気女子なので、ルームメイトだとさぞかしにぎやかで楽しいだろうなとは思っていたのですが、今回実に全く別の一面に出会い、とても驚いたのです。
彼女は実は、とても静かな空間を創り出せる人だったのです。
彼女は実は、とても静かな空間を創り出せる人だったのです。
邪魔、なんて言ったら申し訳無いんだけど、私はアメリカの学校なんかで他の生徒と同室になることもあって、時に黙っていても非常に存在感のうるさい、空間をシェアするのがちょっと厳しいぜ、って人がいる、という経験を度々していました。
これは民族的な物でなく、実際、私にとって過去のルームシェアで最も苦手だったのは日本人の女性でしたから民族的な物では無い上に、おしゃべりとか、声が大きいとか、動作が騒がしいとか、そういう事が原因でも無いのです。
これはあくまでもその人が、たった一人で精神的に充足し完結出来る人かどうかに、かかっています。
なおちゃんは普段、とても話す人なので、同室になってこんなに静かな空間を創ってくれる人だとは思っていませんでしたが、考えてみれば彼女はとても心の自立している人。静けさを創り上げる条件を、十二分に満たしているんだった、と、自分の身支度に没頭する彼女を見ながら、いつも感嘆していました。
今回のツアーは色々な意味で、個人的にはとても充実していたなと感じています。
どこへ行っても沢山のお客様が待っていてくださった、というのもありますが、私は様々な現場でそこにいる人と、印象的な会話や出会いをする事が多かったのが大きかったと思います。これはその地で出会った人だけでなく、今までも知っていた人だけど、というおなじみさんとの関係が、より深く、より自然に、より優しくなった、という事も含めてです。
特別なシチュエーションを与えられると、そこで、その機会に、どれだけの社会的な成果を上げることが出来たか、という事が大事だという人もいますが、私はそういうタイプではありません。私にとって大事なのは、自分がどんな心をもって、その経験と、その人たちと、その現場や土地と関わったか、です。
今回私は、決して完璧ではなかったけれど、出来る限りの事は全力でやったし、関わりたいもの全てと全力で関わった、と言えるので、個人的にはとてもいい旅だったなと感じるのです。
それにしても、パスカルズにいなかったら本当に、こんな変った、じゃなくて色んな意味ですごい旅は出来ませんから、本当に心からパスカルズには、感謝しているんですよ〜。本当にどうもありがとうパスカルズ!ラン・プロダクション!フィリップ!マツさん!松井さん!皆さん!!!!
てなわけで、とりあえず"パスカルズ欧州ツアー"という括りでのレポートは、これで終了とさせていただきます。(完)
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