2017年1月29日日曜日

人には向き不向きがある

以前このブログで、トラが当選した場合、唯一彼がよい大統領になる可能性があるとすればそれは、ヒーローになる事への憧れから、民衆の動きを見極めて学び、不本意ながらもその意向に従う事から始まるのではないかと書きました。

しかし当選してからの彼の様子を見てみると、まず彼は自分の言動について、うしろめたさや罪悪感が全く無いんだねという印象で、これは、民衆が彼に反対したところで、一体何が悪いのかがわかっていないレベルで、人気取りの為に方針を変える術も無い、つまり自分の何が悪いのかそして何をどう変えれば尊敬の対象になれるのかが、まずはわからないのではという感じです。

あっという間に共和党からはかなりの人数が、トラとは一緒にやりたくないという理由で議席を去り、空いた人員をかき集めねばならないと知った時、トラはさすがに傷心な顔をしていたという噂を聞きました。


そもそも彼は自己愛性境界例ですので、心の底に潜む強い劣等意識から自分を乖離するために壮大な自己理想像を持ち、それを承認するために、崇められたり慕われたりすごいと思われたり神と思われたり褒められたり尊敬されたりかっこいいと言われたりするのが大好きなはずですから、思いがけずあまりに多くの人からの嫌悪を全身で浴びている今、平気でいられるとは思えません。

彼が当選した当時から、あまり長く持たない感じ〜、と思ったのは、暗殺されるとかそういうんじゃなくて、なんとなく上記の理由から、早い段階でトラ自身が、サイコティック・ブレイクダウン(心理的破綻)をしてしまうのではないかと思ったからです。


彼がやり手のビジネス・マンだった頃には、好きなだけ自分の理想の幻影を生きていられたのだと思います。

彼をよく知る友人によると、ビジネス・マンだった頃から自分の資産の数字をかなり大袈裟に"盛って"語っていたとは言いますが、仕事上の付き合いならば相手がいくらか自意識過剰のうぬぼれやの見栄っ張りでも、そこは見て見ぬふりをして取引を行うなんて事はよくあっただろうし、ましてや褒めそやして仕事を進めるという事だってあるでしょう。

そういう狭い世界にいれば、(いや勿論、一般的に見れば決して狭い世界ではありませんが、つまり彼の畑である世界に居続けさえすれば)、さほど大きなバッシングに遭う事も無かったでしょう。

ところが大統領になってしまった今、メディアや国民は、その攻撃の手を緩めません。
今や彼の決定や言葉が大きな力を持つ様になってしまったんですから。

そして友人によれば、自己愛性境界例故に彼は、とにかく評判が気になりますから、いくら側近に、悪口を言ってるだけのテレビなんか見るなと言われても、やめられないのだそうです。
そしてそんな批判を聞いて、学んで成長するような強さは、彼には無いだろうと友人は言いました。


彼が呼び寄せてしまった、この災難。

実業家のままでいさえすれば、美人の妻と美しい子供達に囲まれて、みんなにチヤホヤされたまま、誰にも理想の自己像を傷つけられず、「誰もあんたが思ってるような素晴らしい自己像と同じ様に、あんたを見てやしないんだよ。」という厳しい現実を突きつけられないまま生きられたかもしれません。


このままではトラは気付いてしまいます。

オレはもしや嫌われているのか?と。
ましてや、軽蔑されているのか?と。

オレが当選したのは単にカウボーイの連中が、女に政権握られてたまっかと思っただけだからなのか?と。

オレは190cmの2歳児で、大統領になんか到底なれる器ではない人間だったのか?と。



そんな時、周りの大人は優しく、こう言ってあげればいいのです。

「あなたが大統領になったおかげで、アメリカは再びグレートになりましたよ。」
と。

そうです。
今やアメリカは、今まで言葉を濁し続けていた人たちでさえ、人種差別や女性蔑視に大いなる異論を唱え、異教の隣人に言葉と行動で愛を伝え、軟禁されている難民を解放する為に空港に押し寄せ、街は"全人類ー全宗派、全人種、全性別の為の保護区になります"と掲げるサンクチュアリ・レストランだらけ。

アメリカは、再び良き、グレートなアメリカを取り戻したのです!

ありがとうトラよ。
そしてさようなら。

もう、不向きな仕事からは遠ざかり、元の実業家に戻って、壮大な自己像を信じさせてくれる人たちと共に、平和な老後を送って下さい。